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嫌々爺日記

日頃の愚痴か、エンタメ作品の感想か……

むきだしの園子温・『愛のむきだし』

上映時間4時間超、園子温監督最高傑作……どころか邦画史上に残る傑作、という声まで飛び出す作品である。なるほど、確かにそう称賛する人がいるのは大いに理解できる。作り手の情熱が、ヤル気が、発する圧が、そして映画に対する愛が、とにかく凄いのである。

「映画ってこんなもんでしょ?」という、日本映画界によく見られる観客と映画を愚弄した態度は微塵もなく、また三池崇史の(極一部を除く)作品に見られる「徹頭徹尾ビジネスライク感」も無論ない。

 

だが、ではこの作品が僕にとって面白かったかといえば、面白くはなかった。

園監督には「俺は園子温だ!」という作品があるのだが、わざわざそう宣言されなくとも、この映画(というよりも、殆ど全ての園子温作品)の中で園子温は終始、「俺は園子温だ!」と叫び続けているのだ。

 

俺は園子温だ! こんな凄いシーンを撮影したのは俺だ! どうだ! 面白いだろ! 凄いだろ! 俺は園子温だ!

 

この、スクリーン上に谺する園子温の叫びが心地いいという人もいるだろうが、僕には喧しく聞こえてしまう。

残念ながら、この作品が合わなければ、園子温作品で感動することは恐らくあるまい。僕がそうである。

だが、映画が好きな人は、是非一度『愛のむきだし』を観て欲しい。園子温がむきだしにした、これ見よがしの映画愛と途轍もない自己愛は、もしかしたら貴方の心に呼応するかもしれない。

僕はこの作品を、そして園子温監督作品を、面白いと思わない。しかし、「世の中の映画好きは園子温をどう評価するのだろう?」という疑問を抱かせるほど、ある種の魅力を備えた作家ではあるのだ。

もしこの魅力が貴方の好みとぴったり合えば、園子温は貴方にとって忘れられない映画監督となるだろう。