嫌々爺日記

日頃の愚痴か、エンタメ作品の感想か……

いっぱい食べる君が好き

僕は、人の食事している姿に興奮を覚える。この「興奮」を性的興奮と捉えるのは些か大袈裟であり、言うなれば、女性が髪をかきあげるのを見たときや、あるいは好きな人と目が合い、ふと微笑みかけてくれたときに抱く程度の、ドキッという興奮のことを指しているのだ。よってこれ以降、性的興奮ととは似て非なるこの小さな感情を、「グッとくる」と表現することとする。

 

グッとくる対象は、基本的に性的対象となり得る女性である。が、不思議なことに、性的対象としては申し分ない美しい女性でも、その食事姿にはグッとこない場合が多々ある。逆に、ギリギリ性的対象の範囲だという女性の食事姿が、かなりグッとくるということもある。このメカニズムは、僕にも分からない。その女性の食事姿にグッとくるか、あるいはこないかは、実際に見てみるまで分からないのだ。

また、ごく稀に男性の食事姿にもグッとくることがある。これは本当に稀であり、女性の場合、グッとくる女性なら何を食べていてもグッとくるのだが、男性の場合、「アレ? この前はグッときたのに、今日の食事姿にはグッとこないな」ということがある。男性の食事姿にグッとくるのは、それほど奇跡的なのだ。

 

さてここで一つ言っておきたいのが、僕がグッとくるのは、あくまでも普通の食事姿である、ということだ。つまり、ご飯をしっかり味わって楽しんでいる姿なのだ。

たとえばグラビアアイドルのビデオなどで頻繁に見られる、アイスやキャンディなど棒状の食べ物をやたらとエロく食べるシーン。あんなものには全く興奮しない。上目遣いでカメラを見つめ、チュパチュパと音を立ててアイスを舐め回す姿を見させられたところで、彼女が舐めているのは所詮アイスなのだ。「何してんの? それアイスやで」と、僕は思わず笑ってしまう。以前、「とんねるず食わず嫌い王決定戦」を見ていたら、壇蜜がみたらし団子を案の定ヤラシイ感じで食べていたが、それも同様で、僕は残念ながらグッとこない。 

世の中には、食事シーンを描いたグルメ漫画やグルメドラマが氾濫している。が、こうした作品の中には、食事シーンを矢鱈とエロく描写するものが多々ある。汗をかき、クチュクチュと咀嚼音を立て、吐息を漏らし、恍惚の表情を浮かべる。

この表現が僕は本当に許せない。なんだ、オナニーでもしてるのか? 飯食ってオルガスムスに達してるのか。アホか。モグモグ食え! 孤独で自由で幸福な営みが食事なのだ。自慰に耽るのとは、全く別種の快感である。混同しないでいただきたい。

 

食事という動物的かつ神聖な行為に、「エロく見せたい」などという不純な考えを持ち込まないでほしい(性的欲求が不純だと言っているのではなく、安易に食事と性を絡めようとする考えが不純なのだ)。エロスに食を持ち込むのは勝手にすればいい。だが、食にエロスを持ち込むのは断固として反対だ。

 

食欲を満たしたい、美味しいものを堪能したいという人間の根源的欲求を満たそうとする純粋な姿こそが美しく、その欲求が満たされたときの煌めきに、僕はグッとくるのである。